自己破産手続きの方法や流れが知りたい|期間から費用まで徹底解説

2018.04.16 更新

「自己破産の手続きって何から始めればいいの?」
「破産手続きの流れを知りたい」

自己破産の手続きは、「資産があるか/無いか」で手続きの方法や期間が異なります。また、手続きの方法によっては自己破産の手続き申請から自己破産成立まで、最短3か月で終わらせることが可能です。

今回は、自己破産の手続きについて何から始めるべきなのか、また手続きの流れや費用・期間について解説していきます。

目次

自己破産申し立て手続きの流れ

自己破産の手続きにかかる期間は事件ごとに異なるものの、一般的なケースにおける目安は存在しています。
ここでは、「同時廃止事件になる場合」と「管財事件になる場合」とに分けて説明しましょう。

同時廃止事件(資産がない場合)の手続き期間は3ヶ月~

同時廃止の流れ

同時廃止事件とは、自己破産の申し立てした本人に一定以上の財産がない場合の手続きです。
目安としては裁判所によって多少判断は異なりますが、現在の価値が20万円以上ある財産がない場合になります。

自己破産では、破産手続き開始決定がなされることで財産の調査や処分が行われます。そのために、裁判所は破産管財人を選任します。しかし、調査が不要であることや換価すべき財産がないことがはっきりしているケースでは、このような手順をとる意味がありません。

そこで、破産手続きと同時に破産手続きを廃止するのが同時廃止事件です。
自己破産を申し立てる人の多くは、返済に追われて無一文に近い状態のため、同時廃止事件となることが考えられます。

同時廃止事件となれば、管財事件で行われる手順がなくなるので、それだけ自己破産手続き全体の期間が短くなります。増大する自己破産に対応するためか、手続きにかかる期間は短くなっており、早ければ3ヶ月程度で終わります。そこまでスピーディーではない場合でも、4ヶ月から半年程度で片付くことが多いとされています。

ただし、これは裁判所に申し立てをしてから免責(借金から解放される許可を得る)をもらうまでの期間です。申し立てをするまでには、弁護士に依頼したり、書類を準備する期間も必要となり、それら準備期間におよそ2〜3ヶ月かかります。

管財事件(資産がある場合)の手続き期間は半年~1年以上

管財事件流れ

一方で、ある程度の財産を所有しているケースは管財事件(少額管財)となります。

基準としては、残存価値の高い高級車や不動産を所有しているのであれば、管財事件になると考えておけばよいでしょう。管財事件となった場合の手続きの流れは以下の通り、同時廃止よりも複雑になります。

財産の調査や換価(財産などを金銭に換えること)にどの程度の期間が必要になるかは、事件ごとの事情で大きく変わります。早ければ半年程度で終わるものの、1年以上かかるケースもあります

個人の自己破産で弁護士に依頼している場合は、特例的に「少額管財」という手続きで管財事件よりもスピーディー(約3カ月〜6カ月)に行う裁判所もあります。
管財事件や少額管財になった場合も同時廃止同様、これらの期間にプラスで準備期間(弁護士を探す、申立書類を作成するなど)がおよそ2〜3カ月かかります。

同時廃止と管財事件(少額管財)では費用も異なる

管財事件になると、手続き内容が複雑になり期間も長くなることから、費用も多くかかることになります。

財産の種類財産の価値・金額
現金 99万円以下
預貯金 20万円以下
その他 20万円以下

※引継予納金=管財人報酬となる費用

上表の金額は、あくまでも一般的な目安です。費用は弁護士が自由に決定するため、事務所によってかなり差があることも珍しくありません。

ですので詳細については、各事務所での相談のときに確認しておきましょう。その前に自分の費用がいくらなのか気になる方は、こちらの記事にある自己破産診断をご利用ください。

何から始めればいい?自己破産の手続きは準備が大切

では、「実際に自己破産の手続きとは何をすればいいのか」について紹介していきます。
自己破産は自分で手続きすることも可能ですが、実際に素人が行うには難しく9割以上の人が弁護士(司法書士)に依頼しています。

ですので、手続きの第一歩としては弁護士などのエキスパートに依頼をすることになります。

自己破産手続きを弁護士に依頼するメリットはこちらをご覧ください。

手続きの第一歩は弁護士に相談すること

まず、電話相談やメール相談などで弁護士と面談するかどうかを決めます。

面談することとなったら、手元にある借金や収入を確認できる資料を持参します。実際の借金額がわからない場合は、債権者(金融業者などお金を貸している人)の一覧だけでも用意しておくといいでしょう。

面談で自己破産すべきかどうかのアドバイスを受け、最終的に、自己破産による解決が望ましいとなれば、着手金を支払って代理人として手続きしてもらう契約を締結します。

ちなみに着手金は20〜40万円が目安ですが、分割払いに応じてくれる弁護士事務所もあります。

受任通知で取り立てがストップ

依頼を受けた弁護士は、すぐに債権者に対して「受任通知」を送付します。

受任通知を送ると債権者からの取り立てがストップや電話がストップします。そのため生活にゆとりが生まれ、弁護士費用の捻出も可能になります。

申立に必要な書類を作成する

裁判所に自己破産を申立するには膨大な書類が必要となります。
自己破産手続きに必要な書類を、以下の表で確認しましょう。

必要書類/添付資料該当する主な提出書類/添付資料
自己破産を申し立てる書面 申立書
破産に至る事情などを説明する書面 陳述書
債務に関する書類 債権者一覧表・滞納公租公課一覧表
財産に関する書類 財産目録
収入に関するもの

給与明細書・源泉徴収票・課税証明書・年金などの受給証明書・確定申告書・同居人の給与明細書/源泉徴収票

退職所得に関するもの 退職金支給明細書・退職金規定
身分に関するもの 戸籍謄本・住民票
住居に関するもの 賃貸借契約書・不動産登記簿謄本・住宅使用許可書
個別資産に関するもの

不動産登記簿謄本・固定資産評価証明書・課税台帳に記載がないことの証明書・ローン残高証明書・生命保険証書・車検証・車両の売却査定書・預金通帳・各種証書・証明書類

その他

必要に応じて

ここに掲載したものは、一般に必要とされている書類や資料です。

その他にも、相続財産や財産分与、売却資産に関する証明書類、前職関係の書類(無職の場合)、保険を解約していた場合の返戻金証明書なども必要です。

自己破産に必要な書類の詳細はこちらをご覧ください。

自己破産は書類の完成度次第で、手続き期間だけでなく、免責を成否が異なる場合もあります。免責を得られるかどうかの肝心なところにもかかわってくるので、慎重に準備する必要があります。

弁護士に依頼すればこれらの書類を入手や作成をしてくれますので、安心して手続きを進めることができるでしょう。

また、裁判所によっては弁護士に依頼した場合のみ「少額管財」などの優遇措置を設けているところもあります。そうでなくても、本人申立書類にはより厳しいチェックが入るといわれているのが現状です。

自己破産申立から免責許可までの手続きの流れ

申立に必要な書類が揃ったら、自宅を管轄している地方裁判所に提出し、自己破産の申立をします。提出は弁護士に依頼することも可能です。

その際は申立書に貼る収入印紙代(約1,500円)が必要となります。

裁判所の破産審尋とは?

自己破産の申立をすると、1ヶ月後ぐらいに裁判所からの呼び出しがあり、担当裁判官から申立の事情などについて質問されます。これを「破産審尋」といいます。

具体的には「どうして借金をしたのか?」や「なぜ返済できなくなったのか?」など、提出した書類に沿った内容について質問を受けます。

所要時間は長くても30分程度ですが、裁判所で証言することはかなり緊張します。事前に弁護士とシミュレーションしておくといいでしょう。

弁護士に依頼していれば「即日面接」になる場合も

東京地方裁判所など一部の裁判所では、「即日面接」制度を採用している場合があります。
これは、弁護士を代理人にしている場合に限って、その日のうちに申立日に裁判官と弁護士が面接し、破産手続き開始の決定をするというものです。

この場合、破産審尋はなされないため、申立人本人が裁判所に行く必要がなくなります。

破産手続き開始の決定

破産審尋から約1週間後、裁判所から「破産手続開始の決定」が通知されます。
ここで申立人は破産人となり、官報に掲載されます。

また破産手続開始の決定と同時に「同時廃止事件」になるか「管財事件」になるのかの判断もなされます。

この時点ではまだ、借金の支払い義務から解放されているわけではありません。ここから「免責許可の手続き」を経て、ようやく借金から解放されることになります

同時廃止になった場合の流れ

同時廃止事件とは、破産者が債権者に配当できるほどの財産を所有していない場合(目安として20万円以上の財産を持っていない場合)に用いられる手続き方法です。

財産の売却や債権者への配当などの必要がないため、同時廃止事件と判断されると約1ヶ月後、「免責審尋」が行われます。
日本弁護士連合会の調査によると自己破産の7割以上が同時廃止として手続きがなされています。

管財事件になった場合の流れ

管財事件とは、債権者に配当する財産がある場合(目安として車や家など20万円以上の財産を持っている場合)に用いられる手続き方法です。
また借金の理由が浪費やギャンブルであるなど「免責不許可事由」に該当すると管財事件になります。

管財事件になると、まず裁判所が破産管財人を選任します。
破産管財人は、あなたの財産がどれだけあるのかを調査します。そこで車や家など価値の高いものだけを売却し、そのお金を「債権者会議」を開いて債権者に分配します。

なお管財事件の場合は、この期間中に管財人報酬として引継予納金(約30〜50万円)を裁判所に支払う必要があります。

ただし弁護士に依頼している場合は「少額管財事件」という手続きが可能です。その場合、通常の管財事件よりは短く(約3ヶ月)、引継予納金も安く(約20〜30万円)済ませることができます。

管財事件ではこれらの手続きが完了してようやく「免責審尋」の手続きに移ります。

裁判所の免責審尋とは?

免責が許可される前に再び裁判所から呼び出され、面談を行います。これを「免責審尋」と言います。

ここまでの手続きで、誤りや不明点があると質問を受けることがありますが、通常は形式的な確認のみです。もちろん弁護士を代理人にしている場合は同席してくれます。

免責が許可されて借金から解放

免責審尋から2週間前後で免責許可の決定がなされ、これですべての借金から解放されます

ただしここまでの手続きで財産隠しやウソの証言、書類などに不備がある場合は免責が許可されないケースもありますが、破産者の95%以上が免責を許可されています。

免責許可の決定から2週間後ぐらいに再び官報に掲載されます。自己破産の手続きの中は計2回官報に掲載されることになりますが、官報は一部の職業(金融業者など)だけが見るものなので、周囲にバレる可能性は極めて低いです。

自己破産手続き中に注意すべき生活へのデメリット

自己破産の手続きで何より必要なのは、確実に免責を得ることです。
申立をして免責不許可になるケースはほとんどありませんが、万が一そんなことになることだけは絶対避けたいものです。

また自己破産の手続き中は、生活に一定の支障をきたすことがあり、注意してすべきこともあります。

ここでは確実に免責を得るために自己破産の手続き中に注意すべきことについて紹介していきます。

自己破産による生活への影響を考える

そもそも、自己破産の手続き中に再び借金が増えるようだと大問題です。

他にもデメリットとしては、破産手続開始決定を受けることで破産者となり、一部の職業に就けなくなる点があります。
破産者が就くことができない職業には、弁護士や司法書士などの法律系や法律周辺系士業と呼ばれる資格職業が多く、その他には生命保険募集人などの特定保険募集人、警備員などがあります。

ただし、免責を得るなどして復権すれば破産者ではなくなるため、これらの資格制限もその時点で解除です。

なお、破産の事実は事故情報として信用情報機関に登録されます。目先の借金は不要でも、数年後に住宅ローンなどを利用したいと考えたときが問題です。

破産による事故情報は、最大10年間は登録されます。そのため、ローンの審査に通らない可能性があります。また、クレジットカードの新規の申し込みなどにも影響があるでしょう。 自己破産後のクレジットカードが気になる…という方はこちらの記事をご覧ください。

管財事件で注意すること

同時廃止事件にならず、管財事件か少額管財事件になった場合は、免責決定を受けるまでより一層の注意が求められます。破産管財人の業務が円滑に行われなければ、手続き期間が長くなりますし、非協力的な態度では免責に悪影響を及ぼすこともあります

ほかに注意点としてあげられるのは、通信の秘密の制限です。破産者宛の郵便物などを破産管財人がチェックすることがあります。

さらに、管財事件の手続き中に転居する場合は、裁判所の許可を受けなければなりません。 転居だけでなく、長期の旅行や外出も制限対象となっています。逃亡や所在不明と判断されると、免責が許可されず、すべてが水の泡となる可能性大です。

これらの制限は、財産の隠匿などを防止するための処置です。多少の制限こそありますが、免責の許可が得られた時点で復権し、一切の制限がなくなります

自己破産手続き中の引越し、海外旅行に関する詳細はこちらをご覧ください。

自己破産の手続き中に結婚しても大丈夫?

自己破産の手続き中に結婚できるかどうかといえば、答えは「できる」となります

重婚である場合や年齢制限などの例外的規定に該当する場合を除いて、結婚は両者の合意があれば自由に行えるものです。また、結婚相手に自己破産をしたことがバレることはほぼありません。

ただし、結婚後に裁判所からの送達文書や弁護士事務所(法律事務所)とのやり取りなどから発覚する可能性はあります。

これを防ぐには、代理人である弁護士に任せて自宅へ送付されないようにすることです。
それでも、ひとつ屋根の下で暮らす以上なかなか隠し通すというのは困難です。「自己破産を婚約者に知られたくない」のは当然ですが、バレた時に信用を失うリスクを考えると、結婚前に話し合うことをおすすめします。

自己破産手続きに困ったら…弁護士に相談

自己破産で免責を得るためには、裁判所の許可が必要なため、法律の知識が必要不可欠です。

独学で勉強して書類の作成から、裁判所や債権者とのやりとりをすることは法的に問題はありません。しかしそこでトラブルを起こしてしまうと免責が得られないこともあり得ます。法律のプロである弁護士に依頼すれば、こうしたトラブルに遭うケースもなく、スムーズに手続きをすることができます

ここまでも紹介してきたように自己破産の手続きを弁護士に依頼するメリットは、以下の通りです。

  • 確実に必要書類を作成してくれる
  • 免責がスムーズに得られる
  • 債権者からの取り立てが止まる(受任通知)
  • 少額管財に持ち込み費用や期間を少なくできる(管財事件の場合)

自己破産を検討している人にとって、弁護士費用を用意することは困難です。

しかし、受任通知で早めに取り立てがストップしたり、少額管財に持ち込むことで、トータルの費用が抑えられるというメリットもあります。

弁護士事務所によっては、「相談料無料」や「分割払い可能」といった事務所も数多くありますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

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