知ってるだけで差がつく!「給与明細書」でわかる3つのチカラ

2019.10.24 更新

「人生100年時代」という言葉を目にすることが増えてきた昨今において、ライフプランとお金について考えるということは、お金に敏感な一部の人だけのものではなくなってきています。

ファイナンシャル・プランナーである私のもとにも、さまざまな家計の相談が舞い込んできます。

将来に対する漠然とした不安から、家計の支出に対するアドバイスを求める相談者も少なくありません。

そんな相談者に対して、まず私が確認するのは「給与明細書」です。

そこには、お金に振り回されない人生を手に入れるための重要な情報がつまっています。

給与明細書で知る3つの力

「給料がいくら振り込まれたのかがわかれば、給与明細書を見る必要はない」。

もし、あなたがそんなふうに思っているなら要注意です。なぜなら、給与明細書を見ることで、ライフプランとお金について考える上で欠かせない「3つの力」を知ることができるからです。

給与明細書から知るべき3つの力は、以下の通りです。

  • 稼ぐ力
  • 守る力
  • 増やす力

他人があなたの給与明細書をのぞき込むことは、普通はないはず。給与明細書に書かれている3つの力は、あなた自身が見て知ることが大切なのです。

稼ぐ力

給与明細書は、主に「勤怠」「支給」「控除」の3つの情報で構成されています。

このうち「支給」で稼ぐ力を知りましょう。

・基本給 給与の基本部分
・諸手当 役職手当、資格手当、家族手当、住居手当など → 毎月金額が固定
時間外手当、深夜手当、休日出勤手当など → 勤務状況によって変動

基本給は給与の基本となる部分です。あなたのボーナスや退職金の計算のベースにもなります。

基本給に加え、諸手当が支給される場合があります。資格手当が支給されるなら、キャリアプランに合わせて目標設定することでモチベーションアップにつなげましょう。

家族手当や住居手当などがある場合、その支給要件や支給期間を把握していますか? 確認して申請漏れがないようにしましょう。

残業代で収入が増えても、勤務状況によって変動するものなら、そこは当てにせず生活設計を考えたほうが無難です。

残業代ありきで家計を設定すると、勤務先の業績などによって状況が変わったときに、生活への影響を回避できなくなります。

守る力

「控除」には、給与から差し引かれる社会保険料や税金が記載されています。このうち「社会保険料」はあなたの生活を守る力として機能します。

社会保険の主な種類
・雇用保険 基本手当、教育訓練給付、育児休業給付、介護休業給付など
・健康保険 医療費3割自己負担、高額療養費、傷病手当金、出産育児一時金など
・厚生年金保険 老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金など

社会保険をひと言で例えると、あなたの生活を守るセーフティーネットです。

「働けないとき、病気になったとき、万一のことが起きたとき」など、あなたが経済的な不安を感じる場面で、さまざまな公的保障が用意されています。

また社会保険料は、「給与天引き」で控除されています。

とても便利なシステムですが、多くの人は何のために社会保険料を払っているのか、それによってどんな保障が得られるのかを、知らないままになっています。

特に、健康保険には健康保険組合が独自の給付を上乗せ(付加給付)するケースもあり、人によっては民間の保険会社で医療保険に入る必要性が低いこともあります。

「健康保険で受けられる給付を知らないまま、民間の医療保険に加入して高額の保険料を払い続けている」。

もしあなたがそんな状況なら、すぐに自分が加入する健康保険組合のホームページを確認しましょう。

増やす力

「控除」には、社会保険料や税金以外にも会社独自の天引き項目があります。

この中には従業員の資産形成を応援するものがあります。上手に利用して増やす力を高めましょう。

  • 財形貯蓄
  • 従業員持ち株会
  • 企業型確定拠出年金の加入者掛金

財形貯蓄は給与天引きでお金を貯めていくことができます。

現在の金利は低く魅力はありませんが、給与口座に振り込まれる前に先取りされるので、「貯蓄しようとしても気づくと残高はあとわずか」という人にはおすすめです。

財形貯蓄でチェックしておきたいのが奨励金の有無です。企業によっては従業員の貯蓄を応援するため、積立額に対してプラスアルファの奨励金を出す場合があります。

預金金利が0%に近い水準にあるなか、奨励金が年間積立額の1~5%という企業もあります。まずは勤務先で制度と奨励金の有無を確認しましょう。

従業員持ち株会では給与天引きで勤務先の株式を購入できます。多くの企業は持ち株会の会員に対して奨励金を支給しているので、奨励金が出る分一般の人より有利に購入できます。

ただし、持ち株会は、収入を稼ぐところと投資先が同じになるため、万一勤務先が倒産すれば、収入と資産の両方を失うリスクがあります。資産全体のバランスを考えて利用しましょう。

天引き項目に「企業型年金加入者掛金」や「加入者掛金」と表示されていれば、企業型確定拠出年金のマッチング拠出があるはずです。

企業型確定拠出年金(企業型DC)は、企業が掛金を毎月積み立て(拠出)し、従業員(加入者)が自ら運用して老後に備えるための年金をつくる制度です。

マッチング拠出は、企業の積立金に従業員が上乗せして積み立てできるため、備えを充実させることができます。

この場合、従業員が積立のために拠出した掛け金は、所得税や住民税を計算する際に全額所得控除として扱われるため、所得税や住民税の節税効果(注)があります。

老後資金を貯めるなら、真っ先に利用したい制度です。
(注)住宅ローン控除やその他の所得控除によっては、節税効果がいかせない場合もあります。

3つの力でつくる理想のライフプラン

教育費や住宅ローンなど現役世代をとりまく家計環境は悩みも多いですが、現役時代の資産形成がライフプランに大きな影響を与えることは明白です。

「老後資金2000万円問題」など将来に不安を感じる言葉が目につきますが、一発勝負でリスクの高い投資にチャレンジしたり、理解できない複雑な金融商品に手を出したりしなくても、不安を解消する方法はあるはずです。

給与明細書を見て、そこに書かれていることを理解することは、理想のライフプランをつくるための大きなアドバンテージになります。

稼ぐ力を知り、身の丈にあった生活をデザインする。守る力を知り、無駄な支出をカットして家計の収支を改善する。さらに増やす力を知ることで、最適な資産形成の方法を選択する。

あなたが持つ3つの力を理解して、理想のライフプランを実現していきましょう。

執筆者情報

小林 美智子(こばやし・みちこ)
こころFP事務所 代表(ファイナンシャル・プランナー/CFPⓇ、1級FP技能士)
大手電機メーカーの経理部門、税理士法人で通算20年以上のキャリアを経て独立。
保険や投資信託などの金融商品を販売しない独立系FPとして、バイアスのかからない中立公正な立場で個人向け相談、執筆、講演、コンテンツ制作などをこなす。

ホームページ:http://fp-coba.com/
Facebookページ:https://www.facebook.com/kokoro.fp/

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