「やっとのことで借金を完済したけれど、返済した額がかなり多くない?」
そんな疑問を持った人には、過払い金が発生しているかもしれません。
過払い金の返還請求は正当な権利なので、遠慮や心配をすることはありません。 払い過ぎたお金を取り戻せれば、生活を豊かにすることだって可能です。
そこでこの記事では、過払い金返還請求に関する基本的な知識や計算⽅法、相談すべき人など、必要なことを説明します。
2018.10.24 更新
「やっとのことで借金を完済したけれど、返済した額がかなり多くない?」
そんな疑問を持った人には、過払い金が発生しているかもしれません。
過払い金の返還請求は正当な権利なので、遠慮や心配をすることはありません。 払い過ぎたお金を取り戻せれば、生活を豊かにすることだって可能です。
そこでこの記事では、過払い金返還請求に関する基本的な知識や計算⽅法、相談すべき人など、必要なことを説明します。
目次
以下のスライドでは、過払い金や過払い金返還請求(過払い金請求)の基礎的な知識をまとめています。
※スライドの下の(▷)をクリックすると、次のスライドに進みます。
ここでは、過払い金額がわかる簡単な計算機(無料診断チェッカー)を用意しました。
自分の借入金額や金利など、必要情報を入力すると、おおよその過払い金額がわかります。
無料診断チェッカーを使ってみたいけれど、借入額や契約期間を忘れてしまった、よく覚えていないという人は、弁護士や司法書士に調査依頼をしてみましょう。
弁護士や司法書士に依頼すれば、相手先に取引履歴の開示を請求してくれます。
開示された取引履歴には、約定利率によって計算された金額が載っています。
これを、利息制限法の上限利率で計算し直して、過払い金があるかどうか、いくら戻るかまで確認してくれます(※利息制限法に基づく引き直し計算)。
取引履歴の開示請求は、本人が個人で行うこともできます。
しかし、その先の過払い請求までを考えれば、初めから弁護士や司法書士に依頼したほうが確実であり、煩わしい手続きをしないで済みます。
そこで、気になる弁護士費用や司法書士費用ですが、過払いの相談は無料という事務所が一般的です。
また、着手金についても必要のない事務所が主流になっています。
そして、無料診断による計算の結果、過払い金が発生していなかった場合も一切の費用がかかりません。
自分で面倒な手続きをしなくて済むだけでなく、費用だけがかかってしまう心配もないのですから、弁護士や司法書士に調査を依頼したほうがお得です。
過払い金が発生する対象となるのは、利息制限法の上限利率を超える金利で貸金業者と契約し、取引をしていた場合です。
利息制限法では、元本が10万円以上100万円未満の場合、年利18%を上限としています。
そして、多くの取引がこの金額の範囲内にあると考えられます。
ちなみに、元本が100万円以上の場合は年15%で、元本が10万円未満なら、年20%が上限利率です。
しかし、2010年に改正貸金業法と出資法が完全施行されたため、それ以降は利息制限法を超える利率での貸し出しができなくなっています。
また、貸金業者によっては、それ以前から利息制限法の上限以下の利率で営業していました。
したがって、返還請求できるかどうかは、いつ取引していたか、どの業者と取引していたかにかかってきます。
※過払い金の返還請求権は、最後の取引(完済している場合はそのとき)から10年で消滅時効にかかります。もし、最後の取引から10年の経過が目前だという人は、急いで弁護士や司法書士に相談をしましょう。
これらの貸金業者は、銀行が消費者向け金融を本格化させるときに、18%以下で貸し出しを行う低金利の消費者金融としてスタートした経緯があります。
そのため、利息制限法を超える金利での貸し出しはないと考えられます。
なお、武富士(現TFK)は倒産したため(※会社更生の手続きを行ったため)、返還するだけの資金力がなく、裁判所の監督下で手続きが行われるので、過払い金を請求してもほとんど戻ってこないと言えます。
※会社更生の手続きが開始したことで、武富士に対して過払い金を請求する場合、裁判所に「債権届出書」を提出して、過払い債権者として会社更生手続きに参加しなければならない。
また、銀行など金融機関のカードローンも利息制限法よりかなり低い利率を設定していますので、過払い金は発生しません。
貸金業者などの名称 | 引き下げ前の最高年率 | 引き下げた時期 |
---|---|---|
プロミス | 25.55% | 2007年12月 |
アコム | 27.375% | 2007年6月 |
アイフル | 29.2% | 2007年8月 |
そのほかの消費者金融 | 29.2% | 2007年中盤以降が主 |
信販会社・クレジットカード会社 | 29.2% | 2007年が主 |
先に述べたモビットなどを除いては、消費者金融ではほとんどが2007年ごろまで29.2%かそれに近い利率で貸付を行っていたので、過払い金が発生している可能性があります。
なお、信販会社やクレジットカード会社によっては、利息制限法を超える利率の商品と利息制限法以下の利率の商品が並存していた場合があります。
さて、クレジットカードのリボ払いを利用した取引も、過払い金請求の対象になるのかが気になるところです。
結論としては、キャッシングサービスは利息制限法の適用を受けるため、リボ払いの利率が制限利率を超える場合は過払い金の対象になります。
しかし、同じリボ払いでもショッピング利用分にかかるのは手数料であり、金利ではないため利息制限法の適用はなく、過払い金請求の対象にもなりません。
ここで、リボ払いの種類についてまとめておきます。
定額方式は、毎月支払う金額を一定にするタイプです。
定額方式の中でも、
の二種類に分けられます。
元金定額方式は、毎月支払う元金を一定額にする方式です。
したがって、利息は別に支払います。
これに対し、元利定額方式は、毎月の一定額に利息を含んで支払うタイプです。
つまり、一定額が同じ1万円でも、元金均等は別途利息分を加算して支払う必要があるため、月の総支払額は1万円だけ支払う元利金等方式よりも多くなります。
しかし、その分だけ元金が早く減るので、金利負担は少なくなる点がメリットです。
定率方式は、一定の返済率に従って毎月の返済額を決めるタイプです。
例えば、残高が10万円で定率が10%なら、返済額は1万円です。
この1万円に利息を含むかどうかは、元金方式か元利方式かで異なります。
残高スライド方式は、ほかの4タイプのリボにもう一つの条件をつけたものと言え、残高に応じて返済額か返済率の段階を上げ下げするタイプです。
例えば、元金定率リボの場合、残高が20万円で定率が10%なら返済額は2万円です。残高が40万円なら、4万円になります。
これが残高スライド方式になった場合、適用するパーセンテージが残高によって変わるのです。
仮に、30万円以上は8%とする規定であれば、残高40万円のときの支払額は4万円ではなく3万2000円となります。
リボ払いの種類 | 月々の返済額の決め方 | 利息 |
---|---|---|
元金定額方式リボ | 毎月一定額を支払う | 別途 |
元利定額方式リボ | 毎月一定率を支払う | 含む |
残高スライド元金定額方式リボ | 残高に応じて支払う一定額が変動する | 別途 |
残高スライド元利定額方式リボ | 残高に応じて支払う一定率が変動する | 含む |
元金定率方式リボ | 毎月一定率を支払う | 別途 |
元金定率方式リボ | 毎月一定率を支払う | 含む |
残高スライド元金定率方式リボ | 残高に応じて支払う一定率が変動する | 別途 |
残高スライド元利定率方式リボ | 残高に応じて支払う一定率が変動する | 含む |
過払い金の返還請求をする際に、いくら戻ってくるかとともに気になるのが、過払い金がいつ戻るかです。
実際の過払い金請求では、すべてが同じ手順になるわけではありません。
相手も同じではないため、過払い金がいつ戻るかはケースバイケースです。
そうは言っても、一応の目安は存在しています。
まずは、弁護士や司法書士に依頼をしたときの返還請求の流れ(※借金を完済している場合)を確認しましょう。
すべてのスタートはここからです。
必要な書類がすべて揃っていれば、弁護士や司法書士もすぐに過払い金の計算に入ることができます。
しかし、これから取引履歴の開示を求める場合では、過払い金が戻るまでの日数(期間)に違いが出てきます。
弁護士や司法書士のほうでも、取引履歴が届くまでは待つしかありません。
手元の明細か開示された取引履歴に記載されている内容を、利息制限法の上限利率で再計算します(※利息制限法に基づく引き直し計算)。
その結果、過払い金が確定できれば、いよいよ返還請求です。
相手先業者へ過払い金の返還請求をする方法としては、主に任意の和解を申し入れる方法と、請求訴訟を起こす方法があります。
一般には、裁判をするだけ時間がかかりますので、任意で和解したほうが早く過払い金が戻ってくると言えるでしょう。
ただし、その場合は全額の回収ができないケースも少なくありません。
相手先業者からすれば、早期に返還するのだから減額して当然との考えもあるでしょう。
弁護士や司法書士は、訴訟を起こした場合と起こさない場合でどちらが依頼人の利益になるかを考えます。
交渉が決裂したときには、返還請求訴訟に移ります。
この場合、任意の和解よりも過払い金の回収率を上げられることが多いのがメリットです。
貸金業者によっては、「初めから裁判をしてくれ」という態度のところもあるようです。
なお、裁判を起こしたからといって、最後まで徹底的に戦わなければならないわけではありません。
途中で条件が有利になった場合は、和解をすることもひとつの手です。
しかし、相手の条件に納得いかなければ、判決が出るまで進むことになります。
和解により合意をした場合、過払い金の返還時期は貸金業者によって異なります。
短かいと数ヶ月、長いときには半年ほどかかるケースもあります。
その結果、過払い金が確定できれば、いよいよ返還請求です。
また、裁判となった場合にはさらに時間がかかります。
裁判になると、半年から1年ほどかかるのが一般的です。
簡単に過払い金の返還請求手続きの流れを確認しました。
以上のように、過払い金が戻るまでには、ある程度の時間がかかることは心に留めておきましょう。
過払い金の返還請求を行うメリットは、なんと言っても払い過ぎたお金を取り戻せることです。
このお金は、ある時点までは存在すら気付かなかったお金でもあり、そのまま消滅時効を迎えたり、相手の貸金業者が倒産してしまったりすれば、手にすることができない可能性があったものです。
そのような特別なお金を取り戻すことができるのですから、過払い金請求をしないのはもったいないことではないでしょうか。
また、過払い金請求をする人は、それまでに多くのお金を返済してきた人であり、その過程は楽なものではなかったでしょう。
すでに返済が終わっているとしても、金銭的余裕がないかもしれません。
まとまったお金を取り戻すことで、生活に余裕が生まれるのであれば、それもメリットと言えます。
さらに、現在も返済中の場合は、過払い金請求によって立場が逆転するのです。
払うべきものは払ったのですから、払ってもらうべきものを払ってもらう。
たったそれだけのことではあっても、過払い金請求のメリットは大きいのです。
借金の返済中にも過払い金請求はできます。
しかし、実質的には過払いになっていても、形式的に債務がある状態で過払い金請求をした場合、貸金業者によっては信用情報に延滞を登録するケースがあります。
過払い金請求のすべての手続きが終了すれば、登録情報の削除を要求できますが、その間に、延滞情報がほかのローンなどで利用される可能性があります。
そうした理由から、借金返済中の人は過払い金請求をしないほうがいいでしょう。
弁護士や司法書士に依頼しないで、自分で過払い金返還請求をすることはできます。
借金関係の法律や貸金業界に詳しい人で交渉力のある人なら、問題なくできることもあるでしょう。
そのような知識や経験がない人であっても、結論を言えば返還請求をすることは可能です。
ただし、自分が望んだ結果を得られるかどうかは別の話になります。
自分で過払い金返還請求をする場合は、損をする、不利になる可能性についても考慮する必要があります。
自分で過払い金返還請求をすると損や不利な理由
まず、取引履歴の開示請求と利息制限法に基づく引き直し計算という、最初の入り口で失敗する可能性が考えられます。
取引履歴の開示を拒むことはできないものの、いつ送るかは貸金業者次第の部分があります。
相手が素人である本人の場合、すぐには送ってこないケースも稀にあるようです。
また、引き直し計算では、うっかりミスや勘違いで誤った金額を出してしまうことがあります。
実際より少なく計算してしまう恐れはもちろん、取引の内容によっては、業者側と計算の根拠で揉めることもあるのです。
過払い金の額が違うとか、何割を返還するかという重要な部分は交渉力を無視できません。
そして、交渉の現場では正しい知識や経験の裏づけがものを言います。
法律や交渉のプロである弁護士や司法書士を相手にするのと、素人を相手にするのとでは、貸金業者の姿勢にも違いが出ると考えて不思議ではありません。
その結果、多くの時間を費やしたにもかかわらず、期待したほどの金額を得られないかもしれないのです。
自分で過払い金返還請求をする場合は、このような点にも注意しておきましょう。