すべての借金をゼロをするための手続きが自己破産です。
しかし、自己破産は裁判所に認めてもらわなければならず、そのためには正確な法律知識が必要となってしまいます。
ここで頼りになるのが法律のエキスパートである「弁護士」です。
とはいえ、弁護士と聞くと「ただでさえお金がないのに高額な報酬は払えない」「それに見合うメリットはあるのか?」といった不安や疑問を抱く方も多いかと思います。
そこで、弁護士が費用に見合うだけのメリットがあるのかについて検証し、そして依頼方法についても解説していきます。
2018.04.17 更新
すべての借金をゼロをするための手続きが自己破産です。
しかし、自己破産は裁判所に認めてもらわなければならず、そのためには正確な法律知識が必要となってしまいます。
ここで頼りになるのが法律のエキスパートである「弁護士」です。
とはいえ、弁護士と聞くと「ただでさえお金がないのに高額な報酬は払えない」「それに見合うメリットはあるのか?」といった不安や疑問を抱く方も多いかと思います。
そこで、弁護士が費用に見合うだけのメリットがあるのかについて検証し、そして依頼方法についても解説していきます。
目次
弁護士費用は各事務所が自由に設定できるようになっていますが、自己破産の場合の相場は、20万円~50万円が一般的です。
自己破産にかかる弁護士費用の内訳(目安)
内容 | 金額 | |
---|---|---|
着手金 | 弁護士に依頼した時に支払う費用 | 20万円〜30万円 |
成功報酬 | 免責が許可されて時に支払う費用 | 0円〜20万円 |
20万円と50万円ではかなり差がありますが、これは主に破産の内容によって生じます。
同時廃止事件と呼ばれる、破産者に何も財産がないケースでは比較的に低い金額(20万円~30万円)となり、管財事件と呼ばれる財産処分が必要になるケースでは高め(30万円~50万円)になります。
同時廃止事件 | 一定以上の財産がない人が対象(目安として家や車など20万円以上の財産がない人) |
---|---|
管財事件 | 一定以上の財産がある人(目安として20万円以上の財産がある)、もしくは免責不許可事由(ギャンブルで借金を作ったなど、免責にできない事由)がある人が対象 |
実際にいくらかかるかはケースバイケースです。依頼する前に、弁護士や事務所に十分確認をしておきましょう。
いずれにせよ、数十万の費用がかかってしまうというのが現実です。もちろん自己破産の手続きすべてを自分で行うことは可能です。
しかし、実際は自己破産をした人の約95%が弁護士や司法書士に依頼しています。やはり法律のプロに依頼するというのは、それだけ大きなメリットがあるのです。
自己破産の申し立てには、本人が行う方法と代理人を使って行う方法があります。自己破産における代理人となるのが弁護士です。
裁判所の許可が必要である以上、自己破産の手続きは簡単なものではなく、本人が行う場合には円滑に進まないことが少なくありません。何度も書類を書き直したり、必要な書類を揃え直したりといったことも珍しくないため、専門家に依頼する方が確実です。
それでは、自己破産を弁護士に依頼する場合の具体的なメリットを確認しましょう。
裁判所に提出書類は、いわばあなたが借金に苦しんでいる証拠となる大事な文書です。そのため、内容の誤りや不備は認められません。経験豊富な弁護士であれば、書類の種類や中身が足りない事態を回避でき、手続きを円滑に進めることができます。
ケースにもよるものの、自己破産の手続きを弁護士に依頼することで、他人に破産の事実を知られてしまうリスクが大きく減少します。
借金の相談は他人にはしづらいもの。弁護士に依頼すると、これら専門家としてだけではなく、そんな一人で抱えていた問題に一緒に戦ってくれる存在ができるという点も大きなメリットです。
自己破産の手続きは、弁護士だけではなく司法書士に依頼することも可能です。
費用も弁護士の相場が20〜50万円程度に対し、司法書士であれば15〜30万円程度といわれていて、安くなることもあります。しかし、司法書士と弁護士では、業務内容に大きな違いがあります。
それは弁護士は自己破産手続きすべての代理人であるのに対し、司法書士は書類作成だけの代理人であるということです。司法書士に依頼して書類一式を作成してもらうのは可能で、それについて相談をすることもできます。
しかし審尋(裁判官との面談)や債権者集会など肝心の裁判所における手続きは同席できず、一人で対応しなければいけません。
反対に弁護士であれば、裁判所とのやり取りをすべて任せることができます。あなたが裁判所に出頭する必要がある際には、弁護士が付き添ってくれます。
自己破産を検討している段階で、弁護士費用を捻出できるくらいお金に余裕のある方は少ないでしょう。
しかし弁護士費用そのものを安くすることはできなくても、弁護士テクニックによって、自己破産の手続きにかかるトータルの費用が安くなるケースがあります。
その一つが「少額管財」です。
自己破産の手続きは、裁判所の判断によって以下の2つの形態に分けられます。
形態 | 条件(裁判所によって異なる) | 裁判所に払う費用(目安) |
---|---|---|
同時廃止 | (家や車など)20万円以上の財産がない場合 | 約30万円 |
管財事件 | (家や車など)20万円以上の財産を所有している場合 | 約70万円 |
管財事件となった場合、弁護士が代理人になることで「少額管財」といって破産法の範囲内で、時間の短縮と裁判所に収める予納金を安く(20万円程度)する制度を利用することが可能です。これは弁護士に依頼した場合のみに利用できる制度です。
また前述した「受任通知」によって借金の督促がストップする間に、生活を立て直して、弁護士費用を貯蓄しておくことも可能です。
自己破産などの債務整理を専門に扱っている弁護士事務所では、分割払いに応じてくれる事務所も数多くあります。
自己破産後の生活を安定させるためにも、弁護士の支払い方法についてはよく相談して決めましょう。
通常は、依頼する前に相談を行います。相談もなくいきなり契約という話になったら、依頼をするのはやめておきましょう。自己破産などの債務整理を手がけている多くの弁護士事務所では、無料相談を実施しています。まずは、料金も含めてじっくり相談することです。
まず、電話相談やメール相談などで弁護士と面談するかどうかを決めます。面談することとなったら、手元にある債権債務や経済状態を確認できる資料を持参します。その資料と本人の話を総合して、自己破産すべきかどうかのアドバイスを受けましょう。
「実際の借金額がいくらかわからなくなった」というケースもあるかもしれませんが、これは、受任通知によって業者に取引履歴の開示請求をすれば解決します。
最終的に、自己破産による解決が望ましいとなれば、代理人として手続きしてもらう契約を締結します。その際、費用などの疑問点は遠慮せずに確認しておきます。
さて、弁護士に依頼をしたからといって、その後は何もしないで済むというわけではありません。弁護士から用意するように指示されたものは、遅れずに渡します。
また、裁判所によるタイミングの違いはあるものの、自己破産手続きにおいては本人が必ず出頭しなければならないときがきます。正当な理由なく不出頭となることがないように、細心の注意が必要です。そうしたミスを防ぐためには、適度に状況確認を入れることも重要です。
「どの弁護士に依頼すればいいのかわからない」
普段の生活で弁護士に接する機会がある方は多くありません。
だからこそ、事前の相談が重要です。多くの弁護士事務所では無料相談を実施しています。そこで、自分に合う弁護士に出会うまで無料相談を利用してみましょう。
契約ごとである以上、信頼できる相手でなければ依頼をするべきではありません。自己破産の手続き(免責を得るまで)は1日や2日で終わるものではなく、長いケースでは1年程度かかることもあります。数ヶ月間にわたる手続き期間を過ごすには、お互いに信頼できることが大切です。
また、評判の良い弁護士を選ぶこともひとつの手です。同時に、人と人との関係には相性があるので、自分に合う弁護士を見つけるためには、実際に会ってみての印象で判断するということも必要です。
契約関係を作ることはお互いの信頼が前提にあるので、ウソが発覚した時点で契約解除となっても不思議ではありません。ましてや、自己破産を弁護士に依頼することは、ほかの契約以上に信頼関係が必要となります。ちょっとしたウソが裁判所における手続きの結果を左右することでもあり、弁護士が辞任する理由になり得ます。
弁護士が自己破産の代理人を辞任する、主な理由を見てみましょう。
弁護士が辞任した場合は、支払い済みの費用のうち、それまでにかかった分は返還されない契約になっていることが多いです。弁護士は慈善事業ではないので、不実な依頼人のためにタダ働きはできないでしょう。