自己破産後の賃貸契約や更新はどうなる? 保証契約審査での注意点2つ

2018.05.23 更新

自己破産したらマンションの賃貸契約はどうなるのか
自己破産後は新しく賃貸契約を結べるの?保証人にはなれない?

自己破産をしたとき、その後の住宅ローンの審査に通りにくいという話を聞いたことがある人も少なくないはずです。 ローンの契約以外にもマンションやアパートなどの賃貸のことやその契約についても気になりますよね。

そんな自己破産後の賃貸に関する不安を解消するために、この記事では

  • 自己破産をしたときに契約している賃貸はどうなるのか
  • 新たに契約を結んだり保証人になることはできるのか
  • その審査を結んだり保証人になることはできるのか

など、自己破産と賃貸に関することについて詳しく説明しています。

自己破産するだけでは賃貸契約を解除・更新拒否されない

自己破産をすると賃貸物件の契約を解除されるのではないかと不安に思っている人は少なくないようです。たしかに、昔はそういうこともあり得ましたが、現在ではどうでしょうか。

自己破産は賃貸の更新を拒絶するための理由にはならない

自己破産をした人が、賃貸のマンションやアパートに住んでいる場合、経済的に家賃の支払いが困難になるのではないかと考えることができます。もし、大家さんや不動産会社が自己破産の事実を知ったとすれば、家賃の回収を心配することもあるでしょう。また、だからこそ自己破産する本人も、信用状態の悪化を理由に賃貸契約の解除をされるのではないかとの不安を抱くことになります。

しかし、自己破産をした事実は、貸主がマンションやアパートの賃貸契約を解除する正当な理由にはなりません。つまり、自己破産を理由に出て行ってくれということはできないのです。

自己破産が契約解除や更新拒否の理由にならないのは、根拠法令が存在しないためです。

2004年6月に改正された民法では、それまでの621条が削除されました。この旧621条は、自己破産を理由とした賃貸契約解除の根拠となるものでした。しかし、その適用には慎重な意見がある中で、破産法の絡みで削除されたものです。

つまり、現行法の考え方として、自己破産を理由に賃貸契約を解除し、更新を拒絶することは認められていません。

したがって、賃貸契約を解除し、更新を拒絶するためには、借地借家法が求める正当な事由が必要です。

家賃を滞納している場合は要注意

自己破産をしたこと自体では賃貸契約の解除や更新拒絶はありません。しかし、家賃を滞納している場合は話が違ってきます。自己破産をするしないに関係なく、家賃の滞納は契約違反であり、債務不履行だからです。

では、どの程度の滞納で契約解除などになるのかといえば、家賃の滞納が3ヶ月分になったときは、催告を要せず賃貸契約を解除できるとした最高裁の判例があります。つまり、3ヶ月分をためた時点で出て行ってくれといわれても仕方ないということです。

ただ、賃料不払いの場合、個々のケースで事情が異なるため、一律に3ヶ月ということはできません。それでも、この3ヶ月という数字はひとつの目安として意味を持っています。

自己破産後に賃貸契約を新しく結べる?

自己破産後に賃貸契約を結ぶにあたり、保証会社を利用することがあります。この場合、審査に通らなければなりません。

契約を結ぶには保証会社の審査に通らなければならない

かつて、マンションやアパートの賃貸といえば、大家さんか不動産会社と契約すればすむものでした。しかし、近年は家賃の滞納などのリスクを回避するために、保証会社の利用を条件にしているケースが珍しくないようです。

保証会社といえば、保証人を用意できない借り主にとっては便利な存在です。ところが、今日では連帯保証人にプラスして保証会社を通さなければならない物件まで増えています。もっとも、連帯保証人と保証会社は必ずしも同じ役割を担うわけではないため、両方必要なのも納得です。

問題は、この保証会社には審査があることです。各社とも独自の審査を行っています。

賃貸契約の審査に関する2つの注意点

賃貸契約の審査に関する注意点のひとつめは、この保証会社の審査です。 保証会社には大きく2種類の会社があります。ひとつは、クレジット業務を行っている信販系の保証会社。もうひとつは、それ以外の保証会社です。

信販系の場合、信用情報機関の会員となっており、信用情報の照会によって自己破産の事実を把握されるかもしれません。実際に信用情報の照会が行われる場合は、申し込み用紙などに印刷してある個人情報の取り扱いに関する説明の中で明記されているはずです。

自己破産の事実が登録されている期間は、最長の全銀協全国銀行個人信用情報センターで10年となっています。信販系でもCRINネットワークを使用すれば情報を見ることができます。また、少なくとも、直接加盟する信用情報機関の登録が5年ありますので、自己破産後5年程度は信販系の保証会社を利用できない可能性があります。

これを避けるには、信用情報機関に加盟していない保証会社を選択することです。特定の物件についてどの保証会社を利用するかは、不動産会社や物件によって事前にわかります。信販系だとわかった段階で別の物件を探すのがよいでしょう。

ふたつめの注意点はクレジットカード決済です。家賃や保証料などをクレジットカード決済としている契約の場合、新規にクレジットカードを作る必要があります。自己破産によってクレジットカードを持っていないはずだからです。

これも、信販系保証会社と同様に、信用情報機関を利用した審査があるため、使えない可能性が高いでしょう。対策としては、現金払い契約や、現金一括で年払い等の契約交渉をするか、現金で借りられる物件を探すかということになります。

自己破産した人でも賃貸契約の保証人になることはできる?

自己破産と賃貸契約の関係では、本人が借りるだけでなく保証人になるケースもあります。しかし、自己破産した人が保証人になれるのかとの疑問はあるでしょう。

民法450条第1項第2号に、保証人の要件として「弁済する資力を有すること。」との規定があります。つまり、自己破産したことよりも、その経済状態が問題です。とはいえ、当事者間で合意されれば誰がなっても構わない面もあります。もっとも、賃貸契約の場では、自己破産している人を保証人として認めることは考えにくいです。

信販系の保証会社を通す場合は、保証人(連帯保証人)予定者の自己破産情報を把握される可能性があるため、断られる可能性が大だといえます。

自己破産のデメリットについてはこちら

賃貸について気になっても自己破産に踏み切るべき理由

【おさらい】賃貸契約に関するデメリットを避ける方法

いま住んでいるマンションやアパートの契約に加え、将来的に契約する物件のことを考えると自己破産を躊躇してしまうという人は、もう一度、ここまでの解説を振り返ってみましょう。

  • 自己破産をしても賃貸契約を解除されることはありません。もし、解除するという話が出てきたとしても、法的に守られています。
  • 新規に契約する際は、信販系の保証会社を使っていない不動産会社や大家さんの物件を選ぶことで、自己破産のデメリットを回避できます。
  • 同時に、クレジットカードがなくても入居可能な物件を選択すれば審査の不安を解消できます。

自己破産以外でも債務整理すると同じデメリットは起きる

信販系の保証会社や家賃のクレジットカード決済を利用できないなら自己破産をしたくない。他の債務整理の手段を考える。

このように思うかもしれませんが、任意整理や個人再生を選択したとしても、自己破産と同様のデメリットは生じます。債務整理をした事実が信用情報機関に登録されるためです。

そして、どの債務整理手段をとったとしても、信用情報を照会されない方法で新規契約の問題は解決できるでしょう。

重要なことは、自己破産をしても契約解除されることはないこと。そして、自己破産をせずに経済状況がさらに悪化して、家賃の滞納が積み重なれば契約解除されかねない事実です。しかも、家賃滞納の事実は、全国賃貸保証業協会に登録されることで、加盟する保証会社に相互利用されることがあります。

どちらがよりリスキーなことかは、ハッキリしています。

いまの自分が自己破産すべき状況なのか、他の債務整理が適しているのかなど、迷ったら弁護士に相談してください。無料相談を実施している弁護士事務所が多数あります。

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