自己破産しても海外旅行や引越しできる?知っておくべき破産の影響

2018.05.25 更新

「自己破産したら生活にどんな影響があるんだろう」

自己破産をしてしまうと、さまざまな社会的制約を受けるだろうと心配な方は多いかと思います。

しかし、自己破産は経済的に再生するための手段で、自己破産をすることで生活再建の道を目指すことが可能になります。破産手続きによっては、自己破産をしても海外旅行や引越しが可能で、選挙権などの権利を失うこともありません。また、自己破産の記録が戸籍や住民票などの身分を示すものに残る心配もありません。

今回は、自己破産をすると生活にどのような影響がでるのかいついて見ていきましょう。

自己破産後の生活への影響とは?

自己破産後の生活への影響

自己破産をすると、普段の生活にいろいろな影響がでる心配をなされている方は多いのではないでしょうか?
今回は、【海外旅行/引っ越し/選挙権/戸籍・住民票/身分証/マイナンバー】の観点から、自己破産するとどのような制約を受けることになるのか見ていきます。

管財事件 同時廃止
海外旅行 制限あり 制限なし
引っ越し 裁判所の許可が必要 制限なし
選挙権 選挙権は失わない
戸籍・住民票 破産記録は残らない
身分証明書 ほとんど影響はない
※破産者名簿に名前が残る可能性は非常に低い
マイナンバー 破産記録は残らない

「【項目別】自己破産後の生活の変化」はこちら

自己破産しても「海外旅行」できる?

管財事件

破産手続開始決定の際に、裁判所から「管財事件」と判断された場合は、旅行制限を受けることになります

旅行に許可が必要となる根拠は破産法第37条です。「破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。」と規定されています。

海外旅行となれば長期間その居住地を離れることになるため、裁判所の許可が必要となるのです。国内旅行の場合でも長期であれば同様に扱われます。

管財事件となった場合、許可なく海外旅行へ行けるようになるまでの期間は、概ね半年から1年程度だと考えられます。もちろん、ケースバイケースで長くなることもありますが、近年の自己破産の処理が早くなっている状況においては、半年以内で終わることもあります。

同時廃止

破産手続開始と同時に破産手続廃止も決定されたとき(これを同時廃止と呼びます)は、旅行に対する制限はつきません

破産手続き開始決定の際に、約7割の人については同時廃止が適用されます。その結果、旅行を制限されることはなく、海外旅行にも自由に行くことができます。

もっとも、自己破産したばかりで海外旅行に行くお金があるのかという疑問はありますが、破産手続開始決定後に取得した財産は原則として新得財産となり、処分対象にはなりません。したがって、必要なお金を稼げば海外旅行に行くことも可能です。

自己破産してもパスポートには影響なし

自己破産することで数年間は新たな借入ができないといった、生活上の制限があるのは事実です。そのため自己破産するとパスポートが発行/更新できないといった心配をされている方も多いのではないでしょうか?

しかし、多重債務者の救済を目的に作られた自己破産には、生活に大きな支障を与える制限はありません。そのため、パスポートの発行/更新はもちろん、パスポートに自己破産記録が残る心配もありません

管財事件の場合は許可が必要な「引っ越し」

管財事件

管財事件の場合は、引っ越しする際に、裁判所から許可を得ることが必要です。

管財事件というのは、破産手続きを行う必要がある場合に選択されます。
上述したように、破産手続きとは破産者の財産を現金化するための手続きであり、破産者の居住地を転々としてしまうと満足な調査ができなくなる恐れがあるばかりか、財産隠匿の可能性もあるため、そういった事態を防止する意味でも居住制限がされることになっています。

とはいえ、絶対に引っ越しができないというわけではなく、裁判所から許可を得ることができれば問題なく引っ越し可能です。ただし、引っ越しが必要になるだけの相応な理由を求められることになるため、どうしても引っ越ししなければならない理由がない方は、破産手続き終了までの期間については、引っ越しを我慢するしかありません。

同時廃止

同時廃止の場合は、居住制限を受ける心配はありません

同時廃止の場合は、破産手続きと同時に手続きが廃止(終了)されることになっています。同時廃止というのは、破産手続きを行う必要がない場合に選択される裁判所での処理方針の1つです。また破産手続きとは、破産者の財産を現金化し、債権者に配当するというもの。

つまり、配当する財産がない方については破産手続きを行う必要がなく、同時廃止として処理されることからも、居住制限の心配はありません。

自己破産しても「選挙権」は無くならない

自己破産のデメリットとして選挙権が話題になることがあります。被選挙権がなくなるので立候補することができないとか、選挙で投票する選挙権までもがなくなるというものです。

しかし、これはまったくの誤解であり、自己破産をしたことを理由に被選挙権や選挙権がなくなるということはありません

破産記録は「戸籍・住民票」残らない!

自己破産の記録が、戸籍や住民票に残る心配はありません

しかし、記録が一切残らないわけではなく、官報には記録が残ります。官報とは、国が発行している広報誌のことで、自己破産者の氏名や住所、破産した日時、裁判所の名前などが記載されます。広報誌なので、誰でも見ることは可能ですが、一般の人で官報を見ている人はほとんどいないかと思われます。

役所が発行する「身分証明書」とは

一般的に身分証明書とは、免許証やパスポートなどを連想しがちですが、ここでの身分証明書とは、役所が発行する「破産者ではないことを国が証明する公的な書類」のことを指します。

自己破産をすると、「破産者名簿に名前が載る」と聞いたことがある方もいるかと思います。破産者名簿は、一般的には非公開ですが、役所が発行する「身分証明書」という特殊な書類を発行するときに使われるもので、仕事の業種や資格によっては、会社にこの身分証明書の提出を求められる場合があります。

しかし、実際は、身分証明書に使われる破産者名簿に名前が残る可能性は非常に低いです。破産者名簿に載るのは、「自己破産をしたけど免責許可が下りていない人」のみなので、すでに免責許可を受けた人は破産者名簿に載る心配はありません。

「マイナンバー」にも破産記録は残らない

自己破産の記録が、マイナンバーの情報に残る心配はありません。また、マイナンバーによって自己破産がばれる心配ももちろんありません。

マイナンバーの情報で問題視されるのは自己破産の記録よりも、税金の滞納です。住民税などの税金を支払うことは、自己破産をしてもチャラにはならないので注意が必要です。

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