知っておいて損はない、借金額と債務整理の「微妙な」関係

2017.12.26 更新

債務整理をすると、借金が減る、借金の支払いが免除されるという効果があります。
しかし、債務整理の効果は、借金額(借金の総額)によって違うのでしょうか。また、債務整理をするうえで、借金額の制限はあるのでしょうか
そこで、借金額と債務整理に関することを先生に聞いてみました。なお、今回は過払い金が発生するポイントについても聞いてますよ!

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  • 債務整理する効果は、手続きの種類と目的、債務者の状況によって違う
  • 個人再生には、借金額が5,000万円以下という制限がある
  • 平成20年以前の取引なら、過払い金が発生する

手続きの種類と目的、債務者の状況で債務整理の効果は変わる

債務整理をすると、借金が減ったり、借金の支払いが免除されたりするんですよね。

そうですね。

それなら、借金額(借金の総額)がどれくらいかによって、債務整理をする効果って変わるんでしょうか。

債務整理する効果は、手続きの種類と目的、債務者の状況によってかなり違います。 例えば、任意整理の場合で30万円の借り入れなら、手続きをしても返済額自体はほとんど変わらないものの、支払い方法を変更して月々の支払い額を抑えることにより、返済を楽にするという効果はあります。

なるほど。個人再生の場合はどうなんですか?

個人再生の場合には、借金を5分の1ほどに減額することは可能ですが、100万円以下への減額はできません。

そのため、基本的に100万円以上の借金がないとあまり意味はないでしょう。ただし、例えば、貸金業者が一括請求をして困っている場合には、個人再生をすれば返済期間を3年にできるというメリットがあります。

自己破産だと、どうなんでしょう。

無職・無収入で全く返済能力がない人や生活保護受給者などの場合には、少しでも借金があると生活することができません。このような人の場合は、50万円以下の借金でも自己破産をすることがあります。
しかし、特に自己破産においては財産として給与や家が自己破産によって差し押さえられてしまうといった大きなデメリットがあるので注意が必要です。
このように、債務整理の効果は手続きの種類と目的、債務者の状況によってかなり違うので、一概には言えません。

債務整理をするうえで、借金額の制限はある?

債務整理をするにあたって、借金額の制限はあるんでしょうか。例えば、借金が数百万以下でなければ個人再生はできないというような制限です。

債務整理のなかでも、個人再生にはそういった制限があります。
個人再生の場合、借金額が5,000万円以下である必要があります。また、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を用いる際には、住宅ローン以外の債務が5,000万円以下である必要があります。
ただし、任意整理や自己破産には、借金額についての制限はありません

どうしてですか?

自己破産の場合、そもそも借金を返済する義務がなくなるので、借金がいくら多くても問題はありません。
任意整理の場合には、一定以上の金額になると、手続きをしても借金の整理が難しくなり、事実上利用ができなくなります。

また、任意整理では、利息制限法を超過した取引がない限り借金そのものの減額は難しいので、借金がそのまま残ってしまいます。例えば500万円の借金があって、これを任意整理によって5年の返済にしても、月々の返済額は約83,000円にもなってしまい、かなり生活が苦しくなります。

毎月83,000円も支払うのはつらいですね……。

しかし、そのようなケースでも、個人再生をすれば借金が5分の1の100万円に減額され、これを3年で返済するとしても、毎月3万円弱の返済で済むので、借金の総額が多い場合は通常は個人再生を選択します。

なるほど。

なお、債務整理をする際に、「最低〇円以上」などという借金の最低金額の定めはありません。


100万円以下といった少額の借金でも、任意整理・個人再生・自己破産のいずれも利用することが可能です。ただし、あまりに少額の借金の場合、弁護士費用なども考えると債務整理をしてもメリットにならないことはありますね。

債務整理をすべき「デッドライン」を理解しよう

「ここまで生活が苦しくなったら、債務整理をするしかない!」といった判断基準のようなものはあるんでしょうか。

債務整理をするかどうかの判断基準は、月々の収入から生活費や携帯電話代、保険料などの必要な支出を引いた残金から、毎月支払うべき借金を返済することができなくなった段階です。

月々の収入 − 必要な支出(生活費や携帯電話代、保険料など)
※これによって算出した金額で借金の返済ができなくなった場合 → 債務整理をすべき段階

計算が苦手なんで、具体的な例で説明してもらえないでしょうか……。

例えば、月々の収入が20万円あって、必要な支出が15万円だと、毎月支払うべき借金が5万円までならぎりぎり返済を続けていけますが、必要な支出が15万円を超えてしまうと借金を返済することができなくなるので、債務整理をすべきでしょう。

よく分かりました!
収入から支出を引いた金額から、借金の返済ができるかどうかがポイントですね。

もちろん、返済額が少ない場合でも、任意整理などで借金を減らし、家計への負担を減らすという選択をすることもできますね。
なお、多重債務者の人は1社の消費者金融から借金をして、それをほかの消費者金融の返済に回すという自転車操業をすることによって、膨大な額の借金を返済しているケースが多いのですが、こういう状態になったらすぐにでも債務整理をすべきです。

過払い金が発生するポイントは「平成20年以前の取引」

テレビなどで、過払い金請求のCMをよく見るのですが、過払い金が発生するのは、どういったケースなんでしょうか。

過払い金が発生する可能性が高いのは、過去に利息制限法に定められている以上の高金利で、消費者金融やカード会社などと比較的に長期間(5年〜7年ほど)の取引(借り入れ)をしていたケースです。具体的には、「平成20年以前の取引であること」が必要です。

どうして、「平成20年以前の取引」じゃないといけないんですか?

改正利息制限法の施行(※)が平成22年であり、平成20年ごろから、貸金業者は利息制限法で定められているよりも低い利息での取引に移行するようになったからです。
そのため、過払い金が発生するためには、消費者金融のキャッシングやクレジットカードのキャッシング枠を、平成20年以前に利用していたことが必要です
※法令の効力を発生させること。

なるほど。

過払い金が発生する場合、取引の相手方(取引先)は、消費者金融やカード会社(※クレジットカードのキャッシング枠の利用)、信販会社などが主となります。これは、大手の消費者金融でも、中小の消費者金融でも、同じく過払い金が発生します。
ただし、クレジットカードの場合、ショッピング枠の利用では過払い金は発生しません。また、銀行のカードローンや車のローン、住宅ローンや奨学金などは利率が低いので、過払い金は発生しません

借金を完済しているかどうかは、過払い金に影響するんでしょうか。

完済済みか返済中かによって、過払い金への影響は異なります。
完済済みの場合には、期間が短くても過払い金が発生することはありますが、それは微々たる金額です。1年くらいの取引期間であれば、過払い金が発生していても数千円~数万円にしかならないこともあります。その意味では、過払い金への影響は、取引期間が長いほど高額になるということです

それなら、返済中だとどうなんでしょう。

返済中の場合には、過払い金が発生しても借金の残高(元本)の返済に充てないといけません。

過払い金が発生するには、前に説明したように長期間の取引をしていなければならないのですが、まとまった額の過払い金の返還請求ができるには、最低で5年以上の取引期間が必要でしょう。10年間も取引をしていれば、相当な額の過払い金が発生していることが多いですね。
債務整理する効果は、手続きの種類と目的、債務者の状況によってかなり違います。
自分が債務整理をするとどんな効果があるのかを知りたいなら、弁護士に相談するのがおすすめ。
借金で悩んでいる人は、このサイトで紹介している弁護士事務所に、気軽に相談をしてみましょう。

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