借金の時効は5~10年。時効成立の条件と援用のデメリットとは?

2018.06.07 更新

「借金をチャラにできる方法はないかな」
「こんな額払えない…ダメだとわかっているけど借金を踏み倒したい」

絶対に払えない額の借金を抱えてしまっている場合、願わくば借金を払わずにチャラにできることを期待している人もいるのではないでしょうか。借金にも「時効」というものが存在します。条件を満たしたうえで手続きを行えば、時効が認められ、借金を消滅することも可能ですが、借金に対する時効が成立した事例は決して多くはありません。しかし、時効の成立が叶わなくても、「債務整理」という手段を使えば、借金を減らすことが可能です。

今回は、借金を時効にするための条件や手続き、また借金を時効にした場合のデメリット、また債務整理について詳しく見ていきます。

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借金にも時効はある!消滅時効とは

借金でも、一定期間支払いがなされない場合は「時効」が成立します

「消滅時効」とは、金融業者からの借金や多重債務などに苦しめられている場合に適用されます。
債権者が債務者に対して、請求等をせずに、法律で定められた一定期間が経過した場合に債権者の法的な権利が消滅します。

消滅時効を成立させるためには、「時効の援用手続き」と「起算日の計算」がポイントになります。

借金の時効は5~10年|時効成立のための条件

借金の時効を成立させるためには、いくつかの条件があります。

  • 起算日(契約によって異なる)から数えて5~10年で成立
  • 「時効の援用」という手続きが必要

借金の時効はただ期間が過ぎれば成立するというものではありません。
それぞれのポイントについて、以下で詳しく見ていきます。

借金の消滅時効の起算点は5~10年

民事債権 商事債権 信用金庫、農協等 奨学金
5年 10年 10年 10年

時効の完成に必要な期間は、権利の性質によって異なり、個人間の借金(※民事債権と言います)の場合は10年、貸金業者からの借金(※商事債権と言います)の場合は5年と定められています

貸金業者が行う行為は商取引と呼ばれ、迅速性が求められるため、時効完成までに必要な期間が短縮されています。

もっとも、貸金業者は、時効完成が近づくと、時効の完成を阻止するための措置をとる(※時効の中断と言います。これについては、後で紹介します。)をとることが多いので、期間が短いからといって、時効になりやすいとは必ずしも言えません。

やや特殊な例として、同じ借金でも債権者が信用金庫や農協、住宅金融支援機構などの場合、時効期間は10年となります。これらの金融機関は、銀行や消費者金融のような会社ではないので、民事債権の時効の対象となるからです。
また、日本学生支援機構(旧育英会)などの奨学金も、営利を目的とした会社ではないので民事債権と扱われ、10年で時効が完成します。

借金の時効には「援用」手続きが必要

時効の効果を発生させるには、「時効の援用」が必要になります
「時効の援用」とは、時効の利益を受けることを相手方に伝えることを言います。

時効の援用は、一般的には内容証明郵便を利用して文書で相手方の業者に通知します。口約束では、後日、「言った」「言わない」の水掛け論になるおそれがあります。また、普通郵便では相手が受け取った証拠が残らないし、書留郵便では相手方に文書を送った証拠にはなっても、文書の内容までは証明できません。

これに対して、内容証明郵便は相手方に送った文書と同じものが郵便局に保管されるので、「そんな文書は受け取っていない」と言った争いを防ぐことができます。そのため、時効の援用をしたことを確実に記録に残すように、内容証明郵便を利用するのです。

【時効の援用】
借金の時効による利益を受けることを相手方(債権者)に伝えること。

返済したらNG?時効の援用が効かないケース

一定期間が経過すれば、絶対に時効が援用できるというわけではありません

時効の完成後、債務者が債務の一部を返済など、債務があることを前提とする行為(承認といいます)をしたときには、債務者は時効を援用できなくなる(時効援用権を喪失する)というのが判例の立場です。

つまり、借金をしている側が、借金をしていることを認めるような行為(返済)などを一度でもすると、時効が中断し、振り出しに戻るというわけです。

これは、債務者が時効を援用しないであろうと考えた「債権者の信頼」を保護する必要があるとの配慮によるものと説明されています。そのため、事案によっては、債権者による時効援用権の喪失の主張が認められないということもあります。

※「時効以外にも方法が!借金返済のための5つの選択肢」の記事を参照

借金の時効はいつからカウントするか

借金の時効が適用されうる場合の条件を理解したところで、次は「期間」について詳しく見ていきます。借金の時効が起こりうる起算点は5~10年ということは分かりましたが、いつから計算すればいいのでしょうか?
以下で、自己破産の時効が適用されうる期間として3つのケースをご紹介します。

借入先 返済期日あり 返済期日が分からない 返済期日を決めていない
法人 5年後に時効成立 5年後に時効成立 借金をした翌日から5年後に時効成立
個人 10年後に時効成立 10年後に時効成立 借金をした翌日から10年後に時効成立

(1)借金返済の期日が決まっている場合

借金返済の期日が決まっている場合は、返済期日の翌日を1日目としてカウントし始めます
時効がカウントされ始めてから一度でも返済をしてしまっていると、最後の返済の翌日を1日目として時効をカウントしはじめる事になります。

(2)返済期日がいつか分からない場合(不確定期限付債務)

借金返済の期日がいつか分からない場合は、期日が決まっている場合と同じように、返済期日の翌日を1日目としてカウントし始めます

不確定期限付債務とは「○○になった時に借金を返済します」といったその出来事が起こることは確実であるが、いつおきるか分からない期限で借金をすることです。

おおよそ、日付ではなく出来事で借金返済を約束している場合にこのパターンになります。

例えば「退職金が手に入ったら借金を返済する」というような場合です。

例:19XX年に期日不明確なまま借金をする

翌年の2月、退職金が手に入る ⇒この翌日を一日目として時効のカウントを開始する

(3)返済期日を決めていなかった場合

借金の返済期日を決めていなかった場合は、借金をした翌日を1日目として時効の日数をカウントし始めます

ただし、「(1)返済期日が決まっている場合」と同じく時効のカウントが始まってから一度でも返済してしまっていると、最後の返済の翌日を一日目として時効をカウントしなおすことになります。

【要注意】時効が中断するケース3つ

借金の時効は、「中断」される場合があります。
ここでいう「中断」とは、一定期間のみ時効が停止されるわけではなく、一度中断するとそれまでの経過は無意味となり、また一から時効期間が進行するのを待たなければなりません。したがって、時効の完了まであと1週間であったとしても、時効が中断してしまうと、再度5年経つまで時効は成立しません。そのため、次の督促が来るときには莫大な遅延損害金がついていて、なおさら一層返済が難しくなるということも考えられます。

それでは、どういった場合に「時効の中断」になるのでしょうか。
順に紹介していきます。

請求

ここで言う請求とは、裁判上の請求(訴えの提起)支払督促、和解・調停の申し立てなど、裁判所が関与する手続きにおける請求を意味します。
債権者側は債務者に向けて、それらの請求を行うことができます。

これに対して、裁判外で債権者が債務者に履行を求めることを「催告」と言います。

催告をしただけでは時効を中断することはできず、6カ月以内に、前述の裁判所が関与する手続きか、②の差押え・仮差押え・仮処分をしなければ時効中断の効力が生じません

差押え・仮差押え・仮処分

債権者が債務者の財産に対して、差押え・仮差押え・仮処分を行った場合には、時効が中断します。

支払いが滞った場合に「強制執行を受けても異議がない」という文言を含んだ公正証書で借用書を作ることができます。そして、実際に支払いが滞ったときは、債務者の預貯金や給与、不動産などを差押えすることができ、これは権利を強制的に実現する手段であるため、権利行使として中断事由にあたります

公正証書がない場合、裁判などで権利を実現する必要があるものの、訴訟を提起することができます。しかし、判決が出るまでに債務者が財産を処分してしまうと、勝訴判決を得ても回収ができなくなってしまいます。

そのため、判決が出るまでの間、債務者の財産を「仮に」差押えるという制度があります。これを「仮差押さえ」と言います。将来、判決を得て強制的に権利を実現するための手段なので、権利行使の一つとして時効の中断という効力が認められるのです。

債務の承認

自己破産が中断する理由として、最も代表的なものが「債務の承認」です
5年間の間に、1度でも借金があることを認めれば、その時点で時効は中断してしまいます。そのため、再び一から時効をやり直すことになります。

承認は、時効の利益を受ける者が相手方に対して、相手方の権利の存在を認める行為を言います。明示的に認める行為のほか、利息の支払いや元本の一部の返済など、債務があることを前提とする行為は承認にあたるとされています。


このように、時効には中断の制度があります。そして、先に紹介したとおり、貸金業者は時効完成が近づくと、支払督促や訴訟提起などで時効を中断させようとします。

時効が中断すると、元本が消滅しないことはもちろんですが、その間に生じた利息、遅延損害金も残るということになります。

【まとめ】返済できない借金を解決するなら債務整理が一番

ここまでの内容から、借金の時効はリスクがある上になかなか成立しないことがわかったと思います。ただ「債務整理」であれば、簡単かつ低リスクで借金を大幅に減らすことができます
この章では債務整理のメリット・デメリットについて詳しく説明します。

債務整理には多くのメリットがある

債務整理の中でも最も簡単な「任意整理」に焦点を当てて説明していきます。主なメリットは、

  • 将来利息の支払いが0円になる
  • 許容分割回数が増える→月々の負担が軽減する
  • 手続きが非常に簡単

上記の3つになります。

任意整理は債務整理の中でもデメリットが少なく、一番利用者が多い方法です。手続きにかかる期間は1-3ヶ月で債務整理の中で最も短く、かかる費用も弁護士費用のみです。任意整理は特に自分の車や家などの財産差し押さえられることなく、手続きできます。

次にデメリットについて説明していきます。

任意整理でブラックリスト入り?

任意整理の最大のデメリットは、ブラックリスト入りです。

しかし、時効を待ったとしても借金を滞納してしまったことにはなるので任意整理をするしないにかかわらず、既に信用情報に事故情報が登録されてしまっています(俗にいうブラックリスト状態)。

さらに、任意整理によるブラックリスト状態は手続き後、5年~10年で解除されます。借金を滞納したことによるブラックリスト状態は「延滞解消から5年または10年」なのに対し、債務整理によるブラックリスト状態は「手続き後からカウントして5年または10年」です。

自力で滞納状態を解消するより、債務整理の手続きを開始してしまえばカウントが開始します。具体的には任意整理や特定調停の場合には手続き後5年、個人再生や自己破産の場合には手続き後5年または10年になります。ただ借入先に任せて時効成立を待つだけではなく、債務整理の方が早く解除されます

消滅時効を待つより、まずは債務整理に強い弁護士に無料相談をしてみましょう

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