自己破産をすると私の財産はどうなるの?

2018.01.12 更新

自己破産すると家も車も取られるのか?

自己破産では高額財産を手元に残すことができない

自己破産とは、「借金が多くて返済できなくなった人が、裁判所に申し立てを行い、支払い義務を免除してもらう制度」です。
支払い義務を免除してもらうということは、借金が事実上ゼロになるということです。

自己破産というと、マイナスなイメージが伴いがちですが、自己破産をする原因は人によって様々です。
必ずしもご自身の責任によって自己破産をする人ばかりではありません。
自己破産をすると、借金が事実上ゼロになるため、人生を新しく再スタートすることができます。

ただし、自己破産が認められるためには、ご自身の財産を清算しなくてはいけません。
自己破産は、裁判所が「この人にはもう財産が無いから、借金をゼロにしてあげよう」という制度ですので、高価な財産を手元に残すことはできません

自己破産しても残せる財産、残せない財産

それでは、どのような財産を処分する必要があるのでしょうか?
マイホームや車は手元に残すことができるのでしょうか?
自己破産を行う場合の財産について、一つずつ見ていきましょう。

  1. 生活に必要な家具・家電
  2. 現金
  3. 自動車
  4. 住宅

生活に必要な家具・家電

生活に必要な家具・家電については、自己破産後も手元に残すことができます

本棚や電子レンジ、エアコンや暖房器具など、必要最低限のものは処分する必要がありません。
携帯電話やパソコンについても、現在は生活に必要な財産と認められていますので、維持することができます。

ただし、ローンを組んで購入した家具については、注意が必要です。
まだローンが残っている場合は、家具・家電の所有者が「ローン会社」となっている場合があります。

この場合は、ローンの支払いが終わるまでは、その家具・家電はローン会社の財産です。
自己破産の申し立てをした場合は、ローン会社がその家具・家電を引き上げるかもしれません。

引き上げるかどうかは、ローン会社の判断によります。価値が低いものであれば、わざわざ引き上げないこともあります。
高額な電化製品や、購入して間もない新品同様の製品であれば、引き上げられる可能性は高くなります。
ローンを組んで購入した家具・家電がある場合は、ローン会社の規約を確認して、誰の名義になっているかをチェックしておきましょう。

現金

現金については、99万円以下であれば手元に残すことができます。

99万円以内の現金であれば、手元に残し、生活費に使うことができますので、自己破産をしたとしても、無一文になるわけではありません。

それ以上の現金を持っている場合は、清算しなければいけません。

自動車

車を手放す必要があるかどうかは、「ローンがあるかどうか」「中古車として20万円以上の価値があるかどうか」によります。

ローンが残っている場合は?

まず、まだローンが残っている場合を考えてみましょう。
ローンが残っている場合は、自動車の名義は「ローン会社」か「自動車販売会社」になっているでしょう。

これは、「所有権留保」という制度です。
所有権留保とは、「ローンを支払うまでは、車はローン会社(販売会社)のものです。
ローンを払い終えれば、名義をあなたに変更するので、正式にあなたのものとなります」という制度です。

つまり、ローンを支払っている途中であれば、自動車はローン会社(販売会社)のものです。
あなたが自己破産をするのであれば、ローン会社(販売会社)が自動車を引きあげます。
自動車の名義が誰にあるのか不明な場合は、車検証をチェックしてみましょう。

もしも、ローンの残りを肩代わりしてもよいと言ってくれる親戚や友人がいる場合は、ローン会社(販売会社)に車を没収されずにすむことがあります
これを「債務の引受」といいます。
この場合も、債権者の同意が必要なので、債権者を説得しなければいけません。
債権者が納得しなければ、肩代わりをしてくれる人が見つかっても、自動車を手元に残すことはできません。

以上のとおり、まだローンが残っている自動車については、原則として乗り続けることはできません。
ただし、「ローンの残りを肩代わりしてもよいと言ってくれる親戚や友人が」見つかれば、車を維持することができる可能性があります。

ローンを支払い終わっている場合は?

次に、ローンの支払いが終了している場合を考えてみましょう。
ローンが終わっていれば、名実ともに、自動車はあなたのものです

自己破産では、「20万円以上の価値のある財産は処分しなければいけない」というルールがあります。
あなたの自動車が、中古車市場で20万円以上の価値があるのであれば、処分して借金の返済に充てなければいけません
価値が20万円以下であれば、車を手放すことなく、乗り続けることができます。

また、車の価値が20万円以上であっても、あなたの住んでいる地域によっては、車を維持することができます。

裁判所が「あなたの住んでいる地域では、バスや電車が十分に走っておらず、生活をするうえでは自動車が不可欠である」と認めてくれれば、価値が20万円以上の自動車であっても、乗り続けることができます。
これを「自由財産の拡張」といいます。

「生活をするうえで自動車が不可欠かどうか」については、地域だけでなく、あなたの生活状況にもよります。
たとえば、あなたの住んでいる家の近くに地下鉄の駅があっても、あなたが山奥の病院に通っていて、自動車でなければ通い続けることができないのであれば、自動車を維持することができるかもしれません。
他にも、子供の学校の送り迎えや、家族の介護など、自動車が生活に不可欠であるという状況があれば、裁判所に認めてもらえる可能性があります。

なお、この「車の価値が20万円以下かどうか」というルールは、裁判所によって異なります。
東京地方裁判所の場合は、「20万円」と設定されていますが、裁判所によっては金額が異なります。
自己破産をお考えの場合は、お近くの裁判所のルールを確認しておきましょう。

住宅

住宅ローンがまだ残っている場合は、ローン会社によって住宅が売却されます。
ローンが残っていない場合でも、住宅の価値は高額ですので、処分しなくてはならない可能性が高いでしょう。

住宅を処分する方法は、2つあります。
「裁判所による競売」と「任意売却」です。

「裁判所による競売」は、裁判所が住宅の価値を査定し、裁判所を通して売却手続きを行います。
「任意売却」は、不動産業者等に依頼して、業者に売却してもらう手続きです。

いずれにしろ、自己破産をする場合は、マイホームを手放すことは避けられないでしょう。
どうしてもマイホームに住み続けたいとお考えの場合は、自己破産ではなく、個人再生を検討しましょう。

自己破産をしても残せる資産ってありますか?

自己破産の制度は、「財産を処分して借金に充てても、それでも返済しきれないので、借金を事実上ゼロにする」という制度です。
自己破産をするからには、高価な財産を維持することはできません。

しかし、自己破産をした人とはいえ、今後の生活を続けていかなければいけません。
無一文になってしまっては、今後の生活が成り立ちません。

そこで、自己破産をする場合においても、下記の財産を維持することは認められています。

  1. 99万円以下の現金
  2. 価値が20万円以下の財産
  3. 生活に必要な家具・家電など

生活に必要な家具や家電は維持することができるので、今後の生活をするうえで支障が出ることはありません。
現金も99万円以下であれば、手元に置いておくことができるので、当面の生活費は心配する必要はありません。

それでも、どうしても手元に残しておきたい高価な財産がある場合は、どうしたらいいのでしょうか?
たとえば、父親の形見の時計の価値が30万円である場合や、先祖代々引き継いだ高価な骨董品を持っている場合などです。

このような財産をお持ちの方は、自己破産ではなく、まずは任意整理か個人再生を検討しましょう
任意整理であれば、裁判所を通す手続きではありませんので、お手持ちの財産を処分する必要はありません

任意整理をしたうえで、それでも返済が苦しいという場合に、自己破産を選択するということもできます。
任意整理をしたうえで、自己再生を選択する方法もあります。
処分したくない高価な財産をお持ちの方は、まずは任意整理か自己再生を選択しましょう。
自己破産をするべきかどうかを迷っている方は、まずは弁護士に相談してみましょう。

家族が自己破産すると私の資産が取られるのですか?

自己破産は、個人で申し立てる手続きです。
家族単位で申し立てるものではありませんので、原則として家族の財産に影響はありません

あなたが自己破産をしたからといって、あなたの借金をあなたの妻や夫が返済しなければいけない、ということはありません。
あなたの妻や夫が保有している財産は、あなたの財産とは別のものとして扱われますので、処分の対象とはなりません。

テレビドラマやワイドショーを見ていると、「自己破産をするために、家族に迷惑をかけないように離婚した」という話を耳にすることがあります。
しかし、自己破産をするために離婚する必要は全くありません。
場合によっては、夫が知らないうちに妻が破産していた、ということもあるくらいです。

ただし、「誰の財産か」ということは、名義だけではなく実質的に判断されます。
たとえば、あなたの毎月の給与を、子供名義の銀行口座に預金している場合、裁判所ではあなたの財産だと判断されるでしょう。
このような場合、子供名義の預金とはいえ、あなたの財産とみなされますので、清算の対象となります。

また、注意する必要があるのは、「家族が保証人になっている場合」です。
家族が保証人になっている場合は、あなたと同じように借金を返済するべき責任を負います

あなたが自己破産を申し立てた場合は、保証人である家族に請求がいきます。
保証人になっていないのであれば、家族に負担がかかることはありません。
子供の財産は子供のもの、あなたの妻や夫の財産は、その人のものです。

このように、自己破産の効果は、本人にしか及ばないのが原則です。
ご自身が自己破産をしたからといって、家族の財産まで処分されることはありません

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