「個人再生とはどんなものなの?」
「他の債務整理の方法と比べてどんなデメリットがあるの?」
債務整理には他に「任意整理」「自己破産」もありますが、これらと比べて個人再生にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
もしあなたが個人再生を検討している状態であれば、他の手続きとの違いをしっかり把握しておく必要があります。
この記事では、個人再生と自己破産・任意整理との違い、メリットとデメリット、個人再生をするために必要な条件、手続きの流れや期間・費用などについて解説します。
2018.10.24 更新
「個人再生とはどんなものなの?」
「他の債務整理の方法と比べてどんなデメリットがあるの?」
債務整理には他に「任意整理」「自己破産」もありますが、これらと比べて個人再生にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
もしあなたが個人再生を検討している状態であれば、他の手続きとの違いをしっかり把握しておく必要があります。
この記事では、個人再生と自己破産・任意整理との違い、メリットとデメリット、個人再生をするために必要な条件、手続きの流れや期間・費用などについて解説します。
個人再生が有効な人とは以下のとおりです。
個人再生は自己破産や任意整理に続く第3の債務整理として制定されました。
家もあるし安定した収入もある方にとっては、自己破産をして白紙の状態から再出発するよりも、できるだけ今の生活基盤を残したいというのが本音ではないでしょうか。
「生活基盤を残したまま、生活再建の機会を与える」制度。それが個人再生なのです。
目次
個人再生は、裁判所の力を借りることで、5分の1程度にまで借金を減らすことができる債務整理の一種です。
返済期間は3~5年に設定され、減額された借金をその期間で返済することができれば、残りの借金は免除されます。
同じ債務整理の一種である任意整理は、過払い金の返還や利子の支払い免除などはできますが、借金の額(元本)を大幅に減らすことはできません。
そのため500万円の借金を5年間で返済するとすると、月々に8万円強の返済する必要があります。
それに対して個人再生では借金の額が5分の1の100万円になりますので、5年間で返済する場合、年間で20万円、月に1万7,000円ほどの返済で済むことになります。
このように借金が大幅に減額され、返済がラクになることが、個人再生の最大の特徴です。
住宅などの財産を失わなくて済むというのも個人再生の特徴です。
借金の返済がすべて免除される自己破産では、住宅などの財産はほとんどが処分されることになります。
財産を残したまま、減額された借金を返済していけますので、生活の再建がよりしやすくなります。
「個人再生が任意整理 や自己破産 とどう違うのか」についてさらに具体的に項目別に比較しました。どの債務整理が自分に合っているかの判断材料にしましょう。
個人再生 | 任意整理 | 自己破産 | |
---|---|---|---|
借金減額 | 大幅に減額(約1/5) |
少し減額(将来利息のカット) |
全額免除 |
家 |
手放す必要なし |
手放す必要はなし |
没収される |
車 |
ローンが残っている場合は手放す可能性あり |
手放す必要はなし |
時価が20万円以下の場合のみ手放す必要なし |
保証人 |
保証人が払う必要あり |
保証人のついていない借金を対象から外すことが条件 |
保証人が払う必要あり |
官報 |
官報で公告される |
官報で公告されない |
官報で公告される |
差し押さえ |
裁判所からの執行命令後も解除可能 |
通知段階では解除可。執行されれば不可 |
裁判所からの執行命令後も解除可能 |
家族 |
同居する家族が無収入であればバレる可能性は低い |
バレる危険はかなり少ない |
財産を没収されるためバレる可能性大 |
会社 |
基本的にバレないが、必要書類の入手の際に怪しまれる可能性がある |
バレる危険はかなり少ない |
基本的にバレないが、必要書類の入手の際に怪しまれる可能性がある |
比較してみると個人再生は、任意整理と自己破産の中間的な手続きといっても差し支えないかもしれません。
これまでも少しお話ししてきましたが、改めて個人再生のメリットについて紹介します。
個人再生の非常に大きなメリットは、借金が大幅に減額できることです。支払わなければならない借金の額(最低弁済額)は、次の表のとおりです。
借金額 | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 借金全額 |
100万円以上~500万円未満 | 100万円 |
500万円以上~1,500万円未満 | 借金額の5分の1 |
1,500万円以上~3,000万円未満 | 300万円 |
3,000万円以上~5,000万円以下 | 借金額の10分の1 |
表を見ると、最低弁済額は借金額によって異なるものの、だいたい5分の1程度になることがわかります。
個人再生では最低弁済額を3年~5年かけて返済すれば、残りの借金は免除されます(ただし、この借金のなかには住宅ローンは含まれません)。
借金が5分の1に減額されれば、返済は格段にラクになるでしょう。
個人再生では財産を処分する必要がありません。自己破産と比較すると大きなメリットといえるでしょう。
特に住宅は生活の基盤ですから、手続き後もそのまま住めることで生活の再建がより容易になります。
住宅ローン特例が認められるためには、以下のような条件を持たすことが必要です。
個人再生を手続きすると、貸金業者からの督促がこなくなります。
個人再生は弁護士が代理人として手続きを進めるため、その場合に貸金業者が本人に連絡を取ることは法律で禁止されているからです。
貸金業者からの督促は、借金のつらさのなかでも最たるもののひとつでしょう。個人再生を手続きすることにより、生活と心の平穏を取り戻すことができます。
個人再生は借金を減額する大きな効力がある反面、デメリットもあります。
どんなデメリットがあるかについてあらかじめ知っておけば対処可能なケースもありますので、しっかり確認しておきましょう。
個人再生を手続きすると、金融機関が審査の判断をする際に参照する「信用情報(通称ブラックリスト)」に、個人再生を手続きした事実が事故情報として5~10年間登録されます。
ちなみに任意整理や自己破産した場合でも、信用情報に記録は残ります。
信用情報機関に事故情報が登録されることで生活に支障があるとすれば、以下の3点です。
「クレジットカードを利用できない」というのはかなり不便になるように感じられるかもしれません。
しかしデビットカードやプリペイドカードなど代用可能なカードもありますので、あらかじめ作っておくといいでしょう。
ローンやキャッシングもできなくなりますが、当サイトに寄せられた体験談には「借金癖から抜け出せた」といった口コミが多く見られました。したがって必ずしもデメリットともいえない部分もあるようです。
携帯電話も、信用情報への登録によって分割払いでの購入ができなくなります。信用情報の登録がある5~10年は一括払いで購入するか、少し古い機種・格安スマホなどに乗り換えることも検討しましょう。
個人再生をすると減額された借金の請求が保証人へ移行される危険があり、保証人に迷惑がかかることがあります。
個人再生を手続きすると、官報に住所と氏名が掲載されます。
官報とは、国が発行する新聞のようなものです。決定された法令や政令・条約や、省庁の報告、破産や相続などの裁判内容が掲載されます。
ただし、一般の会社や個人が官報を見ることはほとんどありませんので、バレる心配はほとんどありません。
ここまで個人再生のデメリットについて紹介してきましたが、個人再生には他にも「条件が厳しい」というデメリットがあります。
以下の条件に当てはまらない場合は個人再生の手続きができませんので、ぜひチェックしておきましょう。
個人再生をするための第一の条件は、借金の総額が5,000万円以下(利息制限法の引き直し計算後)であることです。5,000万円以上の場合には、通常の民事再生手続を取らなければなりません。
個人再生は、借金を圧縮したうえで、残りの借金を返済していくことが前提です。したがって、継続・反復した収入があり、手続き後の返済が可能であるかどうかは、個人再生をするための大きな条件となります。
学生や専業主婦、無職、生活保護の受給者など、上記2つの条件をクリアすることができない人は、個人再生の手続きをすることはできません。
上記の条件をクリアできた場合には、個人再生は、
小規模個人再生 | 給与所得者等再生 | |
---|---|---|
条件 | 継続または反復した収入がある | 給与などの定期的な収入を得ている |
債権者の同意 | 必要(1/2以上) | 不要 |
再申立の制限 | なし | 過去7年以内に、個人再生手続の(ハードシップ)免責許可決定、給与所得者再生の再生計画認可決定、破産手続免責決定を受けていないこと |
小規模個人再生とは主に個人事業主のために制定された手続きでアルバイトや自営業者の人でも利用できます。
ただし小規模個人再生を手続きするには、上で解説した2つの条件に加え、次の条件を満たすことが必要です。
「債権者(貸金業者)から2分の1以上の不同意(反対)がないこと」
借金の額を5分の1にするなど、多くの債権者が反対するのでは?と思う人もいるかもしれません。しかし、個人再生の手続きは、認められなければ自己破産になるケースが多いため、貸金業者は反対しないことが一般的です。
給与所得者等再生は、給与などの定期的で安定した収入を得ている人を対象としています。
先ほどお話しした2つの条件に加え、次の条件を満たす人が利用することができます。
「過去7年以内に、個人再生手続の免責許可決定、自己破産手続免責決定を受けていないこと」
ただし、給与所得者等再生では、自己破産したとしたら処分するはずの財産・所得(可処分所得)について、最低要件が設けられています。
「個人再生をしたら生活にどんな影響を及ぼすの?」
身近に個人再生をした人がいれば相談できるかもしれませんが、仮にいたとしてもその事実を打ち明ける人はまずいないといっていいでしょう。
そこで実際に個人再生をした人がその後、どのような生活をしているかについて、当サイトに寄せられた体験談を紹介します。
支払先 | 内訳 | 費用 |
---|---|---|
裁判所にかかる費用 | 申請手続き費用 | 約1万円 |
再生委員への報酬 | 約15万円 | |
諸経費(官報掲載料、債権者への郵便代など) | 約3万円 | |
弁護士にかかる費用 | 着手金 | 約30万円 |
成功報酬(報酬金) | 約20万円 | 合計 | 約70万円 |
費用はかかりますが、手続きを行うことによって借金の額が大幅に減額されますので、十分に見合うものとなります。
弁護士費用については分割払いが可能な法律事務所もありますので、「すぐにまとまったお金を用意できない」という方であっても手続きは可能です。
個人再生手続きにかかる期間は、およそ6ヶ月間です。任意整理の場合には、手続きはこれより早く終了しますが、自己破産については同じくらいの期間がかかります。
個人再生の手続きを行うためには、膨大な数の資料を決められた期日までに作成しなければなりません。それら書類の作成を一般の個人が行うのは現実的ではありませんので、弁護士に依頼するのがよいでしょう。
個人再生は、借金がかさんで返済が苦しくなった人を救済するために、2001年4月に施行された比較的新しい制度です。
裁判所の力を借りることにより、借金を大幅に減額することができる一方、自己破産のように財産を失わなくて済むために、生活の再建も容易になります。借金の返済に悩んでいる人にとってはおすすめの制度といえます。
とはいえ、 「裁判所に裁かれるのは恐い 」 「減額されるとはいえ本当に返済できるのか自信がない」 という人もいるかと思います。その場合には、弁護士にまずは相談してみましょう。
弁護士事務所は、無料で相談を受け付けているところがあります。また顔を合わせるのが不安であれば、電話やメールで相談することも可能です。
まずは一歩を踏み出してみましょう。